NPO法人 里山の風景をつくる会のウェブサイト
里山エッセイ

ぞめき(徳島新聞 夕刊 コラム)

身近な生物多様性

今年は蝉の羽化が遅かった。 それでも猛暑に合わせて蝉時雨。 ふと気がつくともう涼しげなカナカナ蝉が、 まだ明けやらぬ早暁に、日の高い夕暮れに鳴く。 立秋が過ぎて、四季折々の生物の不思議な姿に心打たれる。 このたび県の環境 …

ある晴れた日に

毎年夏には戦争に関する本を読もう、 半世紀近く続けている私たち読書会の約束事である。 加藤周一の長編小説「ある晴れた日に」。 今年はこれを読む。 「・・・・太郎は、浅間を見つめながら、 いつか頭のなかで同じことばを繰り返 …

がれきの行方

東日本大震災被災地の災害廃棄物は、その量も質も想像を絶する。 地震と津波による量だけならともかく、有害化学物質や農薬類も流れ出し、 塩水もかぶっている。 放射能に汚染されていれば、何十年どころか何百年の単位で その処理方 …

半夏生

半夏生の季節になった。 半夏生という響きも美しく、 舟形の緑の葉っぱに半分だけおしろいを刷いたようで、 庭一面に増えるのを楽しんだ。 と、いつの間にかユリの仲間に席巻されて 今年は数本になってしまった。 ひともと植えた白 …

雨土と蛍

水無月と聞くや、 咲き始めていたクリの花が満開になっている。 穂状に垂れる白い房々が、 秋にはイガグリ頭のクリの実になるとは摩訶不思議。 ゲ-テ形態学論集・植物篇という本があって、 そこには花から実への秘密が書かれている …

復興住宅の提案

NPO里山の風景をつくる会は、震災後自分たちにできることを探してきた。 「まちに森をつくろう」と、吉野川源流域の木を使った家を建て続けて10年、 川上の森で林業を営む人たちと、川下のまちで木の家に住みたい人たちの願いをつ …

夏は来ぬ

小さな丸いつぼみが膨らんで、 まっ白に卯の花が垣根にこぼれると、 かすかに甘い香りがして足を止める。 柔らかな緑の滴る雑木林には 日がな一日小鳥が囀っている。 「卯の花の匂う垣根に・・・」。 佐々木信綱作詞の「夏は来ぬ」 …

いのちはぐくむ

春を告げ春を寿ぐウグイス。 今年もなわばりの雑木林に帰ってきた。 ケッキョケッキョ、数日後にはもうホ-ホケキョ。 震災からすでに49日、 美声に聞きほれながら、2時46分に捧げる黙祷。 肝心の事は何だろう? 考えて動く。 …

それは違う

原子力発電所の地にいつ春が来るのか心が痛む。 日本は北から南まで、点々と原子力発電所が並び その数55基、計画中10基、まさに原発列島。 南から花開く桜列島に原発が重なって見える現実はつらい。 今から30年も前の愛媛県伊 …

これならできる

天に向かって咲く白いモクレン。 両の手を合わせ、 愛しいものをつつみ込むようなふっくらとしたつぼみが、 やがていっせいに花開く。 津波の怒涛が、廃墟になった家々が、立ちすくむ人々の映像が、 追い討ちをかけたきばむく原子力 …

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