今年は蝉の羽化が遅かった。
それでも猛暑に合わせて蝉時雨。
ふと気がつくともう涼しげなカナカナ蝉が、
まだ明けやらぬ早暁に、日の高い夕暮れに鳴く。
立秋が過ぎて、四季折々の生物の不思議な姿に心打たれる。
このたび県の環境審議会に知事が諮問し、
「生物多様性とくしま戦略」が2012年度内に策定されようとしている。
1年間、県に提案する市民案作りに関わった。
長くて短くて楽しくて難しくて、そんな起伏を感じながら、
環境活動を続けるNPOや専門の先生が協力してまとめた。
多様な人が関わり、多くの時間を費し、議論を有機的に組み立てていった冊子の、
質量ともの重さに襟をただす。
遍路の州(くに)徳島にふさわしいメインフレ-ズは、
「もてなし もてなされる いのちのつながり。」と決めた。
生物多様性とは、いろいろのタイプの生態系に、いろいろの種(類)があり、
それぞれ違う個性(遺伝子)を持っていることである。
それらのバランスとつながりがいのちのにぎわいとなる。
あなたの住んでいる地域にはどんな生き物がいますか、
昔と今とで変わってしまったことはありませんか、
保全や活用していくための方法を、それぞれ地域を愛する人たちから聞くために、
タウンミ-ティングが行なわれる。
8月末から10月にかけて県下くまなく回り、意見を聞き、先の案に加えて行く。
奥山・里山部会は上勝町、東祖谷町、相生町で
「森の恵みと里山のくらし今昔in上勝」「剣山・三峰の自然と恵み」のテ-マで、
「食べて、遊んで、子どもに継がせられる川・海」をうたう川・海・汽水域部会は、
牟岐町、山川町、徳島市で、また、
「まちに自然を取りもどそう。生きものたちをよびもどそう。」を呼びかけるまち、里部会
は徳島市、阿南市、美馬市で開催される。
聞かせてください、あなたが大切にしている身近な環境のことを。
タウンミ-ティングについての問い合せは
「生物多様性とくしま会議」事務局の藤永知子さん<電090-7268-9448>へ。

八木正江

里山の風景をつくる会 理事
地球温暖化を考える-市民アクション2011-徳島代表

2011年8月19 日(金) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より