東日本大震災被災地の災害廃棄物は、その量も質も想像を絶する。
地震と津波による量だけならともかく、有害化学物質や農薬類も流れ出し、
塩水もかぶっている。
放射能に汚染されていれば、何十年どころか何百年の単位で
その処理方法を考えねばならない。
がれきの仮置場も満杯、雨に流された放射能は下水道処理場に流れ込み、
下水汚泥に濃縮されここも満杯。
一刻も早い処理をと急ぐ余り、めんどうなものは
「埋めてしまえ、燃やしてしまえ、水に流してしまえ」と、
昔からある物事の処理の仕方がまかり通ろうとしている。
そんな懸念を一緒に考えるため
「第16回廃棄物処分場問題全国交流集会in徳島」が開催された。
この交流集会は、各地で起こっている問題を共有し、
智恵を出し合い解決策を探っていこうとするものだが、
今回は3、11大震災が引き起こした放射性廃棄物の処理問題が取り上げられた。
環境省通達は「燃やして良い、埋め立てて良い、リサイクルして良い、
廃棄物業者間で委託して良い」。
たしかに「各市町村の性能のよい焼却炉で燃やせば問題ない。」
「周辺住民の受ける線量が年間1ミリシ-ベルトを越えないこと」
などと条件がつけられているが。
そもそも放射能は、焼却することで消えるのだろうか。
高い煙突から排ガスになって飛散しないのだろうか。
燃えカスの主灰やバグフィルタ-で集塵した飛灰は
埋めたら土地を汚染するのではないか。
通達はまた、汚泥をセメント材料、路盤材などの土木資材にリサイクルして使えるというが、
これでは汚染を閉じ込めるどころか全国に拡散してしまうではないか。
最後に集会参加者一同により「まずは、安全性を確認すること、それまでは焼却も、
埋立ても、リサイクルも行うべきではなく、当面保管することを最優先にするべき」
との決議文を採択した。
そのためには全国自治体、住民、事業者の代表、研究者が入った公開で審議できる場を作り、
実行への道筋が示されなければならない。
八木正江

里山の風景をつくる会 理事
地球温暖化を考える-市民アクション2011-徳島代表

2011年7月21日(木) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より