NPO里山の風景をつくる会は、震災後自分たちにできることを探してきた。
「まちに森をつくろう」と、吉野川源流域の木を使った家を建て続けて10年、
川上の森で林業を営む人たちと、川下のまちで木の家に住みたい人たちの願いをつなげてきた。
そして、お互いの願いをすり合わせて行くうちに、
木の家づくりに役立つモデルプランを生み出した。
そのひとつが「嶺北スケルトン」である。
もっと山とまちの距離を短くしたいという願いから、
すぐに組み上げられるようにプレカットした構造材を、
産地から建築現場の軒先へ直送することができるようにした。
これをぜひ復興住宅に生かそう!
これまでの実績に、なお智恵と工夫と被災地復興への思いを加えて、
間取りも値段も考えに考え、
本当にいいものを・安価に・簡単にと実現させた。
果たしてこのモデルが現地の実情に合うかどうか、
実際に建築家が東北に飛んだ。
まち全体がない・・・
いまだ想像を絶する状況が続いていて、
とても住宅を建てるような状況ではなく、
現実は予想外に厳しいようだ。
しかし、仮設住宅にいつまでも住めるものではなく、
必ず生活の基本である「安心の住まい」が求められるはずである。
私たちNPOは復興住宅における安心の住まいを次のように考える。
1,土地の気候と風土に合わせ、風を入れ、光を入れて建てる、自然素材による健康住宅
2 仮設の役目がすめば、建て増しや移築もできる本格的な住宅
3 輸入木材ではなく、故郷の森の復活につながる住宅
4 低予算で狭い土地にも建てられる住宅
5 予想される東南海地震の時には、自分たちが提供を受けたい住宅
地元の大工さんや職人さんが、地元の木で建てることができれば言うことなし、
それを手助けできる事を願う。
佐古一番町のビオスホ-ルで6月4日午後2時から開くNPO里山総会(参加自由)では、
現地報告に合わせて「復興スケルトン住宅」を発表、
私たちの役割は何か、を話し合いたい。
八木正江
里山の風景をつくる会 理事
地球温暖化を考える-市民アクション2011-徳島代表
2011年6月3日(金) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より