里山エッセイ
いのちはぐくむ
2011年5月16日 ぞめき(徳島新聞 夕刊 コラム)里山エッセイ
春を告げ春を寿ぐウグイス。 今年もなわばりの雑木林に帰ってきた。 ケッキョケッキョ、数日後にはもうホ-ホケキョ。 震災からすでに49日、 美声に聞きほれながら、2時46分に捧げる黙祷。 肝心の事は何だろう? 考えて動く。 …
それは違う
2011年4月15日 ぞめき(徳島新聞 夕刊 コラム)里山エッセイ
原子力発電所の地にいつ春が来るのか心が痛む。 日本は北から南まで、点々と原子力発電所が並び その数55基、計画中10基、まさに原発列島。 南から花開く桜列島に原発が重なって見える現実はつらい。 今から30年も前の愛媛県伊 …
これならできる
2011年4月1日 ぞめき(徳島新聞 夕刊 コラム)里山エッセイ
天に向かって咲く白いモクレン。 両の手を合わせ、 愛しいものをつつみ込むようなふっくらとしたつぼみが、 やがていっせいに花開く。 津波の怒涛が、廃墟になった家々が、立ちすくむ人々の映像が、 追い討ちをかけたきばむく原子力 …
合意形成
2011年3月18日 ぞめき(徳島新聞 夕刊 コラム)里山エッセイ
合意形成という言葉がはやっている。 春が来ているのに粉雪が舞ったり、 日傘が欲しいような紫外線を感じたり、 三寒四温の春は気まぐれ。 季節の巡りに合意形成はあるのか、と妙なことを考える。 天空にいる白いガウンをまとった季 …
鍋から見える
2011年2月25日 ぞめき(徳島新聞 夕刊 コラム)里山エッセイ
はかせ鍋、圧力鍋、土鍋、タジン鍋、ゆでもの鍋、 すき焼き鍋、ダッチオ-ブン、無水鍋、中華鍋、 雪平、ミルクパン、蒸し器・・・・あるある。 狭い台所に並ぶのは土鍋と雪平だけ。 食卓に上るのは豆腐におひたし、煮物に焼き魚と …
森の精の住む病院
2011年2月10日 ぞめき(徳島新聞 夕刊 コラム)里山エッセイ
大安のその日、冬の空は真っ青で、 少し遠いがなだらかな山の稜線に囲まれた地に 掛矢の音が響いていた。 太い棟木や登り梁が次々とクレ-ンで下ろされる。 手慣れた大工さんたちがえいっ、やっと受け取り、 切り組みをぴったりと合 …
凍てつく朝に
2011年1月25日 ぞめき(徳島新聞 夕刊 コラム)里山エッセイ
凍てつく朝に 正月じじいが来ぃました、 なんと言って来ぃました、 寒いと言って来ぃました。 お正月にやってきた正月爺が居座って、 この冬一番に冷え込んだ朝、 私たちは「若水」を汲もうとさてどこへ? 名づけて水見張り隊の面 …
11年目の123
2011年1月11日 ぞめき(徳島新聞 夕刊 コラム)里山エッセイ
大晦日に降った雪が斑(はだら)に残り 寒気に明けた新年。 幸多かれと一年の先行きを祈る。 年の初めにまたまた書きたいことがある。 平成23年1月23日午後1時から、教育会館大ホ-ルで 「11年目の123」が開かれる。 百 …
ぞめき
2010年12月24日 ぞめき(徳島新聞 夕刊 コラム)里山エッセイ
忘れ得ぬ人がいて、 忘れ得ぬ言葉がある。 32年間続けてきた「城の内読書会」が 15日、355回をもって幕を閉じた。 さまざまの思いが交錯する。 知人、親戚誰もいない徳島に来てまだ日が浅かったあの頃、 私と周囲をつなぐの …