暑い夏の熱い選挙から10日が経つ。
政権を変えたのは主権者である私たちだが、
正直選挙の直後には、今までと大して変わらないとも思っていた。
今まで自分が関わってきた市民活動では、
市民の力は不燃焼のまま終わり
「政策」として生かされる事はほとんどなかったからである。

ところがである。
日が経つにつれて、市民が真価を発揮して、
賢い市民が賢い政策を提言していけば
平成の維新は必ず実現できるはずと期待が膨らんでいる。
そのためには新しい政権にマニフェストを守れと攻め寄るのではなく、
共に実現していく決意と協力体制が必要だと思う。

地域が元気にならなければ国に元気は及ばない。
地域を元気にできる市民の力とは?
難しい定義はいらなくて、一言でいえば
「生活者としてこうしたい、こうすればできるよ、だからやろうよ」、
そして
「その仕組みや方法を編み出して実現に導こうよ」ということであると思う。
自分がかかわってきた市民活動から、
実現可能な提言をしていける時が来たことを実感している。

ひとつ、「地球温暖化を考える-市民アクション2009-徳島」は昨年9月、
田中優氏による講演会「地球温暖化を食い止める新しい社会のつくりかた」を開き、
社会の仕組みを変えるための一歩を踏み出そうと提案した。
受けて「食べる」・「住まう」・「動く」・「平和る(いきる)」と
テーマ毎に開いたワークショップには半年をかけた。
徳島での具体的な提案に直結するものばかりであり、今出番を待っている。

ひとつ、近くの山の木で家を建て、
まちに森をつくろう!と呼びかけるNPO「里山の風景をつくる会」。
経済の森と環境の森の両立を図り、木材自給率20%を倍増しよう!と呼びかけ、
このスローガンを実現に導くモデルも持っている。

ひとつ、廃棄物問題。
最大の負の遺産と言われるこの問題に
目を向け身命を賭(と)した政治家を知らない、
現代の田中正造がいることを知らない。
どんな素晴らしい政策を並べても
やせ衰えた汚染の土に理想の花は咲かない、実らない。

地道な苦労の中から解決への糸口を探したい。

私は今自分が、市民の力の小さな駒であることを自覚している。
そして周囲には同じく、
小さくても固い決意の駒が力を発揮したいと待ち構えていることを知っている。
「市民の力」に無限の可能性を感じている。

里山の風景をつくる会 理事
地球温暖化を考える-市民アクション2009-徳島代表  八木正江
2009年 9月 9日(水) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より