2月23日にシンポジウム「まちに森をつくる」が開かれました。
今回で3回目となる「まち・もり」のテーマは「地球温暖化と里山の家」です。
急速に進む地球温暖化を防ぐために私たち一人一人ができることは?
山を守る人、作り手、住まい手、生協、それぞれの立場からの取り組みを
語っていただきました。
5回シリーズで皆様にお伝えします。
四国の森づくりネットワーク代表として活躍される田岡秀昭さん。
その活動の原点は『木をつかうことによって森は守られる』ということ。
「木をつかうことで、地域の環境がどう変わっていくのか、考えて欲しい」と
会場に呼びかけて田岡さんの講演は始まりました。
日本の森林被覆率は世界一、しかもその40%が人口林です。
その人工林の砂漠化を食い止めることが出来ないのは
森づくりに「木をつかう」という考えが欠落しているから。
そして使われる木の80%をホワイトウッドなどの外材に頼っている現状に対し、
木の地産地消、ウッドマイレージ、つまり食と同じ視点が必要だと
田岡さんは指摘します。
急速に進む地球温暖化防止に大きな期待がかかる森の機能。
しかし国土の66%を覆う森がその機能を発揮するためには、
一人一人が森の木とのかかわりを住まいの中で考えていって欲しい。
例えば里山の家の環境性を地球温暖化という視点から
田岡さんは次のように説明します。
里山の家が使う木材は平均して60㎥、44トンのCO2を家は固定します。
森林でみると、4人家族が年6,5トンのCO2を排出するとして、
一世帯が26年間排出するCO2を固定した森の木が里山の家に使われます。
里山の家は地球温暖化防止に森と同じ機能を担う、と田岡さん。
かつては世界中の森の木を輸入してきた日本ですが、
今世界的にみた木材の流れは中国やインドなどに移りつつあります。
外材が輸入しにくくなったことで国内では大手住宅メーカーが国産材に目をつけ
合板などに加工してつかう動きが始まっています。
しかし木はむくの材としてつかわれないことには、
森を育てていく経済の循環が保障されません。
里山の家のように、木をきちんとつかった家づくりをすすめていくことで
よい環境を取り戻して欲しい、と田岡さんは締めくくられました。
(part2につづく)