私たちの会にとって「森」という言葉は、大きな意味をもっています。
森に育った木は、折々に手入れをされ、建築材として利用され、さらに再び植林され成長し続けます。
森が長い時間の中で循環する「生きた森」、働く
人たちが生活できる「経済の森」、それらの両立をめざして活動してきました。

「森は海の恋人」とも呼ばれます。どうしてでしょう。

目に見えにくい森の重要な役割を、森に堆積した腐葉土の下からしみ出た水に混じって、海に達するまでの流域の営みの中に探ってみます。
この魔法のような水は広葉樹林なくしては生まれない水です。

腐葉土は、ミミズ等によって食べられ、粉砕され、それを微生物が分解し腐熟した有機物を生成します。
そのうちのフルボ酸が、鉄と結合して水溶性であるが安定したフルボ酸鉄となります。
これらは先ず植物性プランクトンや海藻に取り込まれます。
そして光合成で増えますが、そのためには窒素やリンが必須成分です。
それらを細胞に取り込むときに、触媒の役目をするのが、実は水溶性の鉄(フルボ酸鉄)なのです。
魚はプランクトンを食べることで、水中の窒素やリンを取り込めタンパク質をつくります。

吉野川の源流のある高知県の森から、また中流の両岸の森林からもフルボ酸鉄が途絶えることなく出てくれれば、
田や畑でも、同じメカニズムで生育に必要な成分が細胞に取り込まれ良質な米や野菜が育ちます。

今の季節、吉野川第十堰では越水する流れの周りに、エサを求めていろんな鳥たちが集まってきます。
生物があふれ、様々な生物の織りなす風景が見られます。
最近ではコウノトリもやってくるようです。
河口域のスジアオノリ、鳴門のワカメも色、香りよし、そして沖では魚たちが育っています。

最近はその魔法の水が減りつつあります。
これからも吉野川源流や流域の森林が豊かで生きた森であり続けるためにどうしたらいいのでしょう。
みなさん、『ごちそうさま吉野川 吉野川を四国初のラムサール登録湿地に 写真展』を開催いたします。
森と海、そして川との不思議なつながりについていっしょに考えてみませんか。

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ごちそうさま 吉野川
吉野川を四国初のラムサール条約湿地に 写真展

2017年7月28日(金)~30日(日) 9:30~17:00
文化の森総合公園 徳島県立近代美術館一階ギャラリー     

主催 吉野川ラムサール条約登録湿地をめざす協議会