photo by Nakamura Takahiro

小松島市櫛淵の里山周辺を散策しました。
風は冷たくても陽ざしは春です。
陽だまりにはお花畑。
3月の里山に咲く花は小さくてきれいな色が多いですね。
黄色のコオニタビラコ、白いタネツケバナ、
薄桃色のアシビ、空色のオオイヌノフグリ。
ツクシやヨモギは瑞々しくておいしそう。
田んぼにはレンゲの花も咲き始めていました。
時折、鳥の姿が枝から枝へ。
でも20人近い私たち一行を警戒しているのでしょう。
はっきりと姿を捉えることはできません。
目で追うことはあきらめて耳を澄ますと、
森のあちこちから静けさの中を
風紋のように響いてくる声に、
こんなにもたくさんの鳥が潜んでいる!
と驚いたことでした。
鳥にしてみれば私たちは乱入者。
「気をつけて」と言い合っていたのかもしれません。
鳥のエサになる小さな昆虫も、
啓蟄を過ぎ冬眠から目覚めた様子。
ナナホシテントウをクローバーの中で何匹も発見しました。
テントウムシは成虫で集団になって越冬するそうです。
クローバーの絨毯が布団だったのかな???
小学生の男の子がバッタを捕まえました。
「トノサマバッタだね」と大人は判断。
でも違いました。‘ツチイナゴ’。
このあたりで冬を越せるバッタはツチイナゴしかいないそうです。
それを教えてくれたのは幼稚園年長さんの男の子でした。
虫の大好きな虫博士に拍手!
なんといっても、一番の発見はカスミサンショウウオの卵です。
田んぼの端の水たまりでみつけました。
長くて透明な螺旋状の卵嚢(らんのう)の中に
黒い小さな卵がたくさん入っています。
よく観察すると卵には凹凸ができていて、
細胞分裂が進み始めた様子です。
カスミサンショウウオは環境省のレッドリストで
絶滅の危険性が増大しているとされる
「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されています。
幼生は水中ですごし、
成体は落ち葉の積もった林のようなところで過ごす、
里山がなければ存在しないいのちです。

里山があって水が流れ田んぼを潤す。
何気ない風景に守られて
なんとたくさんのいのちが育っているのでしょう。
小さな生きものから空を旋回するトンビまで、
そのいのちのピラミッドを垣間見た
「里山のふしぎを発見しよう!」でした。
田んぼ探検隊シリーズはこの1年
5月の「田んぼをつくろう」から今回までの
計7回の連続企画として行いました。
米づくりは土づくりであること、
生きものの豊かな田んぼにおいしいお米ができること、
田んぼといういのちのゆりかごを守る農家さんの存在、
いのちのつながりや里山・田んぼ・川の連続性。
田んぼをフィールドにし、農家さんや生きものから
実にたくさんのことを学ぶことができました。

さらによいプログラムをつくって
田んぼ探検隊2014を企画していきたいと思っています。
新年度からの田んぼ探検隊をどうぞお楽しみに!
NPO法人里山の風景をつくる会
代表理事 近藤こよ美