前日の夜、徳島市にとっては珍しい雪が降り積もり、
人や車の少ない道路は
雪がシャーベット状になった、寒い1日だった。
そんななか、桑野川EM研究会の方々と
徳島市内からの参加者合わせて25人が
桑野町の紺屋教育集会所に集まった。
まず、小松島有機農業サポートセンターの中村さんから、
絶滅した生き物が増えたのは農業の営み、
特に化学肥料や農薬の使用によることが大きいと、
歴史的な推移をイラストを使いながらお話があった。
続いて日本野鳥の会徳島支部長の三宅武さんからは、
田んぼに飛来する鳥の種類や羽数は
農業様式、場所、時期により変化すること。
鹿児島県出石市にナベヅルやマナヅルが1万羽以上越冬し、
世界最大の越冬地になっていること。
現在、各地でかってのようにツルが暮らせるように、
越冬を分散させる取り組みが行われていること。
農薬を使用しない有機農業の田んぼには
鳥にとって大切な餌も豊富であることなど話された。

その後、冬鳥・夏鳥・旅鳥・流鳥を
スライドショウで見せて下さった。
農家さんから、
ツバメがやってきたのを見て田植えを始めていたが、
最近は来るのが遅いため判断に困るとの話に、
近年、数が少なくなってきており、餌が少なくなったこと、
昔のように土間を解放している農家が減り、
外壁にも巣をつくる場所がないことが原因のひとつ、
と話された。
最後に、桑野川EM研究会会長の大川さんからお話があった。
「自分で作って自分で食べる」ために、
微生物の力を生かしながら、
環境にやさしい有機農業に取り組んできたこと。
秋のEMボカシづくりから春の種もみの温湯消毒・
夏の草取り・秋の刈り取りなど
年間を通しての労苦をいとわない取組みのおかげで
おいしいお米ができたこと。
有機栽培の米「つるをよぶ米」として、
生協で販売されて6年になること。
今後も消費者との連携を深め、
「つるをよぶ米」の販路を広げていきたいことなど、
熱を入れて話された。
私たち消費者も、
有機農業の田んぼによって
里山の自然が守られ、再生され、
安全でおいしいお米が頂けることに感謝して、
農家さんと共に歩める
賢い消費者でありたいと思った。
勉強会終了後、
ふゆみず田んぼ2か所(山口町・長池町)に
案内してもらった。
頬も凍り付くような寒さのため、
生き物も影を潜めていたが、
暖かい日にはヤゴやイトミミズ、
カワニナなど生き物が見られるそうだ。
田んぼいっぱいに張られた水の中で、
ナベヅルなど水鳥たちが
餌をついばんでいる姿が彷彿され、
心が豊かになった。

里山の風景をつくる会
理事  石原禮子