コラム「ぞめき」を書き始めて5年になる。
2004年6月1日にスタートしたので、明日が日曜で夕刊がお休みということもあり、
今日5月30日が丸5年の最後にお届けするコラムとなる。

「ぞめき」は13人の筆者が順番に書いている。
つまり、各筆者が月2回のペースで執筆しているので、
年24回として5年間に120編のコラムを書いてきたことになる。

切り抜いてある自分のコラムを読み返してみた。
2004年6月8日の最初のコラム『関白宣言』は
さだまさしさんの歌と地震対策をからませて、
同7月8日の『船中八策』は坂本龍馬と公開討論会のことを、
そして2005年1月21日の『徳島は静かに燃えた』では
吉野川の住民投票とその後の展開について書いている。
ヒトラーの焦土作戦と建築家シュペーアのことを書いた
『美しい町』(2005年12月19日)や建築家吉田鉄郎と東京中央郵便局をテーマにした
『古い手紙』(2007年12月12日)などは思い出深いコラムである。
その時々に考え、行動していたことを中心に文章にしたものである。

これらのコラムを自分自身の建築アトリエと
NPO里山の風景をつくる会のホームページに転載させてもらっている。
それを見かけた方や、直接夕刊で読んだ方から感想や激励のお便りをいただく。
「ぞめき」を書いていてよかったなと思える瞬間である。

さて、この5年間いっしょに書いてきたペンネーム<杉>さんと<饗>さんらが
この5月で「ぞめき」を卒業されることになった。
彼らの熱心な読者でもあった私には少し寂しい気持ちである。
おふたりのコラムのいくつかが頭をよぎる。
感動して切抜いたコラムも引出しの中にしまっている。
おふたりとも、充分に書ききっての卒業であると思うことにしたい。
私の方はまだまだ不充分ということで、もう一年続けさせていただくことになった。

6月から新しく三人の筆者が加わる。
どの方もそれぞれの分野で活躍されている人たちなので、
どのような新鮮な文章を読ませていただけるのかとても楽しみである。

これからも「ぞめき」のご愛読をよろしく。

建築家 野口政司   2009年 5月 30日(土) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より