新町川水際公園のふれあい橋で、LEDのランドスケープ照明が始まりました。

点灯式のあった8月4日の夜、
橋の舗石ブロックに埋め込まれた2000個のLEDが光り出すと、
つめかけた市民たちは、その幻想的なあかりに魅了されたのでしょう、
静かにどよめいたのでした。

子供たちは初めて見る光景に驚き、
波のように明滅しながら動いていく光のあとを追いかけていきます。
娘さんたちは、宝石がちりばめられたような
ふれあい橋と水際公園の光をまるく囲んで、
不思議な透明感のあるそのあかりに見入っています。

集まったどの人たちも胸の高なりを覚えて、心なしか上気しているようです。
それは熱帯夜のせいではありません。

何かこれまでとは異なることが徳島のこの場所で始まった、
その瞬間に立ち会えることの喜びと興奮によるのではなかったでしょうか。

LED(発光ダイオード)は、人類が発明した第4のあかりといわれています。

それまでのローソクやたいまつなどが燃える自然の光に対して、
1810年頃普及したガス灯、1879年に白熱灯、1938年には蛍光灯が、
そして1996年に白色LEDが誕生しています。
ちょうど60年ごとに新しい発明がなされているのが面白いですね。

それぞれのあかりには捨てがたい魅力があります。
ただLEDだけは発展途上というか、
とんがった光で目が痛い、冷たい光でなじめないなどの欠点が目立っていました。

しかし、今回のふれあい橋での点灯では、
そういったLEDの欠点がみごとにカバーされ、
その魅力が際立っているように思えます。

初日は、虹のように輝く天の川がふれあい橋の上に降りてきたイメージで、
華やかでかつ幻想的な光のシーンが展開されました。
スタートとして演出効果十分でした。

今後、“阿波踊り”や“眉山の夜景”、“ 風にそよぐ木の葉”、“ ホタル”など
様々なイメージの点灯が夜8時から10時までの間に、日がわりで行われます。

世界でも初めての、ファイバーケーブルによる野外でのLEDランドスケープ照明は、
徳島からの新しい光の文化の発信となるでしょう。

阿波踊りのぞめきに誘われて街中に出た方は、
ぜひ新町川のふれあい橋まで足を伸ばしてみませんか。

建築家 野口政司   2008年 8月11日(月) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より