雪景色の中のナベヅル(阿南市) 撮影 三宅 武さん
豊岡市で放鳥されたコウノトリが レンコン畑の広がる鳴門市で巣作 りをし、
ナベツルも昨年四国へ4 00羽、そのうちの130羽が徳 島で越冬したこと
を受け、生息地 や餌場となる田んぼや湿地の生物 を増やす取り組みを
考える「コウ ノトリ・ナベツル徳島フォーラム」が 7 月 2 日に開催されました。
ラムネット共同代表の呉地正行氏からは田んぼ生物多様性向上10年
プロジェクトにつ いて、日本野鳥の会の金井裕氏からは、コウノトリ・
ナベツルの生態と習性について貴重な話をしていただきました。
野鳥の会県支部長の三宅さん、冬水田んぼや有機稲作つくりをされて
おられる滝口氏、小山氏、北野氏、そして田んぼ探検隊を続けている
里山 の風景をつくる会が、現場からの声を伝えました。
大型野鳥の飛来は、彼らの胃袋を満たすほどの餌場が徳島にはあると
いうことを示して います。
徳島には、豊かな森から発した1級河川吉野川水系、那賀川水系と、
勝浦川の ような2級河川39水系が流れ、その流域に恵みを与えながら
海と合流しています。
人や生き物が受けるその恩恵は計り知れないほど大きいものなのです。
私たちは果たして その恩恵に気が付いているのでしょうか。
大切に付き合っているのでしょうか。
私たちは田んぼ探検隊で自然にやさしい農法をする人々と接するうちに、
彼らの田んぼ は生物多様性に富んだ土地になっており、コウノトリや
ナベツルが飛来することを学び ました。
そこでは山、小川、田んぼと、そこに生きるいろんな生き物の素敵な交流が
肌 で感じられます。
また干潟観察会をしている吉野川とその流域では、そこから得られる恵みは、
米、野菜、魚類、海藻と多種に及び、昔から賢明な利用と保全がなされてきました。
干潟では絶滅危惧種に指定されている希少種といわれる生物がうじゃうじゃおり、
広大な風景にも癒され、参加者は豊かな生き物のつながりを感じ、学び、
いっしょに泥にま みれ歓声を上げます。
田んぼ探検隊も干潟観察会もあふれるばかりの人で賑わいます。
沖の干潟でも多くの鳥たちの姿が観察されます。
私たちは、この豊かな吉野川河口から第十堰までの汽水域を
ラムサール条約湿地に登録 しようと活動しています。
国際基準も満たしており、すでに河口域は、環境省の
「日本 の重要湿地630」に選定され、また「東アジア・オーストラリア
地域渡り性水鳥重要 生息地ネットワーク」にも登録されています。
次回ラムサール条約締約会議は平成30 年にアラブ首長国連邦の
ドバイで開催されます。
この機会を逃さず、生物多様性に富んだ、大きな干潟の広がる
吉野川流域の登録を目指しましょう。
理事 津嘉山 郁子