fumicaです。
今年のセミナーをしめくくる連続セミナー
「美しいまちに住みたい Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ」の

Ⅰ、「いきづく町をつくるー真鶴町の選択」に参加しました。
テキスト本は、
「いきづく町をつくる 美の条例 真鶴町・一万人の選択」
五十嵐敬喜・野口和雄・池上修一 共著 学芸出版社です。
真鶴町は、人口一万人の神奈川県にあるちいさな町です。
このまちの試みは、すでに都市計画学会賞、まちづくり学会賞を受賞しています。
そんなすごい試みの「美の条例」とはなにか?それはどのようにしてつくることができるのか?
真鶴町の人々がまちの良さ、美を探し出し、「条例案の作成」、「運用規則案の起案」、「議会」、「運用」、そして「具体的につくってみること」まで、すべてが実験で、その実験が連続していく様がよくわかります。
日本中のまちが、まちづくりをなんとかしなくてはと考えている昨今、「まちには何もない」ところからつくっていくことの基準となる本です。この徳島も例外ではありません。
この本に出てくるキーワードの一つに、プリンス・オブ・ウェールズ(チャールズ皇太子)著の 『英国の未来像ー建築に関する考察』 があります。
下世話にいうと故元ダイアナ妃の夫、誰もが知っているアノ、チャールズ皇太子です。
彼は伝統的なイギリスの建物や風景が壊されていく事実に直面し、イギリスが滅びると感じた。
そこで、破壊を食い止め、イギリスの美しさを取り戻すために「10原則」をまとめます。
これが、おどろくほどに私たちの感覚とマッチしているのです。

①場所ー「風景を蹂躙(じゅうりん)するな」
②建築の格づけ
③尺度(スケール)・・・「小さいものほどよい。大きすぎても不十分」
④調和・・・「聖歌隊とともに歌え、合唱にさからうな」
⑤囲い地
⑥材料・・・「材料はそれがある所にあらしめよ」
⑦装飾・・・「むき出しの輪郭はいただけない、細部を豊かにせよ」
⑧芸術・・・「ミケランジェロは前庭にぽつんとただひとつ立つ抽象彫刻をつくる依頼などは受けたことがなかった」
⑨看板と照明・・・「公共の場所に粗悪な看板を立てるな」
⑩コミュニティ(地域共同体)・・・「家を建てる時は、そこに住むことになる人の意見を聞け」

などです。
これを原典とし、真鶴町では「まちづくり条例」にいう「まちづくり」の中心的課題を「美の原則」としたのです。
真鶴町『美の基準・デザインコード』にある美の基準の総括表から抜粋すると、
美の基準のⅠ、
③尺度・・・すべての物の基準は人間である。建築はまず、人間の大きさと調和した比率をもち、次に周囲の建物を尊重しなければならない。
④調和・・・建築は青い海と輝く緑の自然に調和し、かつ町全体と調和しなければならない。
とあります。

美の基準のⅢから②格づけのキーワードをみますと ○海の仕事 山の仕事 があり、
⑦コミュニティーでは ○人の気配 ○小さな人だまり ○さわれる花 といった言葉がならんでいます。
血がかよった仕事をしているなぁと関心します。
どうしたら、こんなよいものができるのでしょう。行政と地域に暮らす住民が協力しながらつくりあげていくことのすばらしさ。この徳島でも実現することは可能でしょうか。
吉野川河川計画のすすめかたなどをおもうと、この地では、「地域住民はだまっていなさい」と、いわれつづけているような気がしてなりません。
徳島の夜のまちをまぶしくまわるサーチライトは、真鶴町の条例に当てはめてみれば、まちがいなく条例違反でしょう。
かしこい住まい手になりたいのなら、住んでいるところを言葉にしていこう!
きっと、見る目がちがってくるはずです。
みなさんも、いっしょに探しにいきませんか?