「汚染水の影響は原発港湾内の0.3 平方キロメートルの範囲内で
完全にブロックされています」
「健康問題は今までも、現在も、将来も
まったく問題ないと約束致します」
ブエノスアイレスでのIOC総会で、
2020 年夏季五輪の開催が東京に決まった。
安倍晋三首相による福島原発事故の影響を否定する招致演説が
決め手になったと各報道機関が伝えている。
私も国際中継で安倍首相の演説と質疑への応答を聞いたが、
強い違和感を覚えた。
“一国の首相が目的を達成するために平気で嘘を言うんだ”
ということを世に知らしめたのである。
まるで車のCMのような映像によるプレゼンテーションは、
どこかの広告会社に高い制作費を出したんだろうなと
笑って済ませられる。
しかし、すぐに馬脚をあらわしてしまう安倍首相の虚偽の説明は、
日本という国の品格をこれ以上はないという程
落としめてしまったのではないだろうか。
「7年後の五輪開催に向けて
不安を取り除くようあらゆる方法をつくします。
大震災を受けた日本にとって
オリンピックの開催は大きな希望となり、
復興に向けて力強い支援になります」と
首相は訴えるべきではなかったのか。
その方が後々まで日本が信頼されることになるのでは、
と原発事故による放射能汚染で関東の家に住めなくなり、
徳島に帰って来ることになったAさんと話したのであった。
一国の首相に真っ赤な嘘を言わせる。
― 原子力発電所の事故の恐ろしさは、
放射能だけではないのである。
里山の風景をつくる会 理事
建築家 野口 政司