Photo:Takeshi.Miyake
コウノトリは里の自然生態系の頂点に立つ
肉食の鳥です。
野生で生息するためには、
里山や川や田んぼ、水路に
膨大で多様な生きものがいる環境が必要です。

かつて日本で暮らしていたコウノトリは
1971年、豊岡市を最後に
日本の空から姿を消してしまいました。
戦後の圃場整備や河川改修によって
湿地は姿を消し、川と水路は分断され
農薬の使用によって生きものはいなくなり、
コウノトリの体も蝕まれていったからです。

「いつか、きっと空に帰す」ー
絶滅の危機に瀕していたコウノトリを救うため
野生のコウノトリを捕獲し、
人工飼育で繁殖させ、
大変な時間とエネルギーを費やして
野生復帰の取組を続けてきた豊岡市。

40年の歳月を経て2005年、初の放鳥に成功。
そして今、豊岡の空には
たくさんのコウノトリが舞っています。

大きな食物連鎖ピラミッドを復活させるために、
多様な水辺や豊かな森、
そして農業しながら生きものを育む。
コウノトリと共に暮らしていくために
暮らしを見直し、ふるさとの歴史文化、産物への
価値観を再びつくり上げていく。

この活動が世界的に認められ、
昨年、豊岡盆地を流れる円山川下流域と周辺水田が
ラムサール条約湿地に指定されました。

豊岡市の自然環境、文化環境再生へのキーワードは
「コウノトリ」でした。
気の遠くなるような50年もの長き時間をかけて
コウノトリの里を再生し続ける豊岡市。
私たちが住む徳島には何があるのだろう・・
日帰りツアーから帰って何度も考えています。
豊かな流域を持つ気候風土
それを守ろうとする市民の絆
そこに豊岡のようなストーリーがきっとあるはず。
一歩一歩、楽しんで、悩んで、の積み重ね。
私たちが歩む道を、みんなで考えていきましょう。

こんぺいとう


田の水路に作られた魚道                Photo:Hiromu.Sora


コウノトリ人工巣塔への配慮の看板         Photo:Hiromu.Sora


Photo:Takeshi.Miyake