おいしいごはんはどこにある、と聞かれたら即座に答える。
おいしいごはんは家にある。
毎日毎日食べているごはんがおいしいごはん、と。

家族が二人になってもう長い月日が経ち、
出掛ける事も多くて駆け込みで準備することもあるけれど、
朝に昼に夕にいつの日の食卓も
「おいしかったね」で終わることができてありがたい。

おいしいごはんの条件って何だろう。

おいしいごはんは簡単明瞭。
野菜、魚、肉、豆腐、乾物、これらの素材をゴチャゴチャまぜない。
まぜてもそれぞれの素材が自分を主張しないでお互い引き立て役になり、
素材の味も姿も生かされていることといえようか。

おいしいごはんはとてもきれい。
料理は目で食べると言う、
一枚の葉っぱや一切れの添えものが美しい世界をつくる。

何よりおいしいごはんは温かい。
野菜も米も、肉も魚も、調味料だって、
食卓に届くまでの道筋を知っているから、
それらの人たちが食卓の向こうに見えるから、
苦労がぬくもりとなって伝わり温かい。

こんなこともある。
娘が小学生だった頃、毎日どんなごはんにも、
明るく大きく「お母さん、美味しそう」と言った、
あの言葉があって今のおいしいごはんがある。

そして又、おいしいごはんは器を選ぶ。
何の変哲もなく、どこにでもある雑器なのに、
盛り入れればぴたりと映る器がある。
どの器に盛りつけよう、料理人の醍醐味。

「用の美」とか器芸術の世界では言うけれど、
大好きな白州正子さんの本などを広げれば、
うんちくを傾ける事がいっぱい書いてあるけれど、
毎日の食卓にはあまり関係なくて、
「おいしかった」の一語に満足している。

おいしいごはんは、食と農との関わりそのもの、奥が深い。

深さを垣間見られるイベントが開かれる。
「オ-ガニック・フェスタ 2012 in 四国」で、
19日(日)午前 10時から小松島ミリカホールで開かれる。
有機野菜の産直市オ-ガニックマルシェが開かれ、野菜ソムリエも登場、
有機野菜のおいしさコンテストもある。

問い合わせは
NPO法人・とくしま有機農業サポートセンター内の実行委電 (0885-37-2038)。

八木正江

里山の風景をつくる会 理事
地球温暖化を考える-市民アクション2012-徳島代表

2012年 2月17日(金) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より