露草色の明るい青地に白いくりぬきの文字。
真夏の太陽の下数本ののぼりがひらひらと風に揺れて、
遠くからでも「ラムサ-ル署名だ!」と一目瞭然。

市民団体「吉野川ラムサ-ルネットワ-ク」(7月27日設立)が
「吉野川河口域をラムサ-ル条約登録湿地にしよう」と呼びかけている署名の活動は、
今、県内外を問わず広がり始めている。

去る8月24日環境省で候補地検討会が開かれた。
ロビー活動が大事と毎回東京の会議にかけつけたメンバー、
かたずをのんで結果や如何?と情報を待ち受けた。
まだひとつも登録地のない四国だが、
その四国で今回7ヶ所、全国で192ヶ所が選定候補地に決定した。
吉野川ももちろんである。

ラムサ-ル条約は国際条約だから、登録にこぎ着けるには
国際基準1から基準8までの厳しいハ-ドルを越えねばならない。
今回吉野川にとってチャンスだったのは、
河口域が国際的にも重要な湿地だよ、と認められたことである。
自然度の高い河口域環境、動物植物魚類いずれも種や稀少種が多いこと等、
国際基準はすべてクリアした。
市民団体(学術団体や行政機関も)の人たちが何年も地道に観察し
積み重ねた記録が生きようとしている。

その上で登録決定を実現させるには何が足りない?
それは吉野川を保全し、賢く利用し続けたいという市民の意思である。
駅前での署名にはいくつものエピソード、
高校生や中学生の若い人たちが気軽にペンを走らせる。
吉野川の雄大さに感動したと県外一家も、
全国行脚途中の函館の男性も、
はつらつとした女性の活動ぶりにハ-トが騒いだという信州の男性からは
励ましの手紙も届いた。
一筆一筆が吉野川への思いをつなぎ人をつなぐ。
里山の風景をつくる会 理事
地球温暖化を考える-市民アクション2010-徳島代表  八木正江
2010年9月11日(土) 徳島新聞夕刊 「ぞめき」より